2007年 02月 11日
ブリンズリー・シュウォーツの未発表/レア音源を、元メンバーのイアン・ゴムが自分のサイト( http://www.myspace.com/thebrinsleys )で販売していると知り、オーダーしてみた。本人のソロのものと合わせて5タイトルが出ているが、値段も張るので、今回はグループ時代のものを。 It's All Over Now BRINSLEY SCHWARZ 1974/2006 Live At The Top Rank Cardiff BRINSLEY SCHWARZ 1974/2006 いずれもグループ末期の頃のもので、前者は7枚目のスタジオアルバムとして制作されながらオクラになっていたもの(ブートでは出ていたよう)、後者は1974年6月に行われたライブを収録したものである。 このグループ、初期はザ・バンド・シンドロームの中登場したイギリスのカントリー・ロックみたいな感じもするが、イアン・ゴムが加入し、ニック・ロウのポップセンスが開花してからは「パワーポップ」のジャンルとして括ったほうが相応しい素敵なバンドにと変わっており、ここでもそういった音楽の持つワクワク感が全開している。 「It's All Over Now」での聴きものは、何と言ってもニック・ロウのソロ代表曲(1979年)として知られる「Cruel To Be Kind」のオリジナル・ヴァージョンである。ハモンドの音色が軽快さを彩る「胸キュン」なサウンド、アレンジにはノックアウト必至! ぜひ上記リンク先で試聴してみてください(ほかにもStiffからリリースされたJona Lewie「God Bless」のオリジナルも収録)。 (後註 2007/2/27: その後、ニック・ロウの「Little Hitler」7"のB面に入っている「Cruel To Be Kind」がアルバムとは別アレンジというので、現物を入手して確認したところほとんどこのBrinsleyヴァージョンといっしょでした) っていうか、このバンドちょっと早過ぎたのかもしれない。こんなトラックを1974年に録音していたと言うのもそうだけど、前年には変名でレゲエのカバーをシングルリリースしていて、しかもそのB面には怪しげなインスト・ヴァージョンを入れていたりするのだから・・・。 メンバーのうち、ニック・ロウについてはソロとしてもプロデューサー(コステロ、ザ・ダムドなど)としても成功しており、またグループ時代の「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love, and Understanding」という歌がいろんなアーティストにカバーされ、特に映画「ボディガード」のサントラにカーティス・スタイガーズのヴァージョンが収録されたことで印税も相当入ったと聞く。イアン・ゴムもソロで多く作品をリリースしているが、やはり上記「Cruel To Be Kind」の共作者としての印税もまだ入ってくるに違いない。ブリンズリー・シュウォーツ(個人名)とボブ・アンドリューズはグレアム・パーカーのルーモアに加入、たぶんちょっとは成功したはず。 なかなか顧みられないブリンズリー・シュウォーツだが、時代を超えた愛すべき男のポップにはまだ語るべきものが多く残っていると思う。 なお、「Rarities」というアルバムもイアンのサイトで売られており、こちらにはオムニバスのライブ盤「Greasy Truckers Party」に収録され未CD化の5曲も、盤起こしながら収録。 オーダーは上記リンクなどからイアン・ゴム本人にメールで。1枚15ポンド+送料3.50ポンドはなかなか高い。PayPalでの支払いが可能。 <Brinsley Schwarz Discography> albums Brinsley Schwarz (United Artists UAS 29111, Apr. 1970) Despite It All (Liberty LBG 83427, Nov. 1970) Silver Pistol (United Artists UAS 29217, Feb. 1972) Nervous on the Road (United Artists UAS 29374, Sep. 1972) Please Don't Ever Change (United Artists UAS 29489, Oct. 1973) The New Favourites of Brinsley Schwarz (United Artists UAS 29641, Jul. 1974) It's All Over Now (2006) ※その他、編集盤、BBC音源など singles Shining Brightly / What Do You Suggest (United Artists UP 35118, 1970) Country Girl / Funk Angel (Liberty LBY 15419, 1970) Country Girl / Funk Angel (United Artists UP 35312, 1972) Hypocrite / The Version (United Artists UP 35530, Apr. 1973) The Hitters 名義 Speedo / I Worry (United Artists UP 35588, 1973) I've Cried My Last Tear / (It's Gonna Be a) Bring Down (United Artists UP 35642, Mar. 1974) (What's So Funny 'Bout) Love, Peace And Understanding / Since You're Gone (United Artists UP 35700, 1974) Everybody / I Like You, I Don't Love You (United Artists UP 35768, Jan. 1975) I Should Have Known Better / Tell Me Why (United Artists UP 35779, Jan. 1975) Limelight 名義 Daytripper / Slow Down (United Artists UP 35773, Feb. 1975) The Knees 名義 There's A Cloud In My Heart / I Got The Real Thing (United Artists UP 35812, 1975) The Brinsleys 名義 #
by deadfunny
| 2007-02-11 14:34
2007年 02月 04日
ジェイムズがティム・ブースを迎えて再始動したという話に喜んだのも束の間、ビューティフル・サウスが解散を表明した。どちらも僕の'90年代を豊かにしてくれた、青春のシンボルのようなバンドである。 今日はジェイムズの話。 ジェイムズはマンチェスターのバンドで、ザ・スミスよりちょっと遅れて地元のFactoryからデビューしている。2枚のシングル(とそれらを合わせた12インチ)を残してメジャーに移籍、Blanco Y NegroやSireからアルバムを出したがパッとせず、一度契約を終えている。 そして1988年に自主制作のライブ盤「One Man Clapping」、翌年にRough Tradeから'80年代UKインディの伝説として語られるべき名曲「Sit Down」、来るべきダンスムーブメントを予感させる「Come Home」という2枚のシングルをリリース、若者の支持を得たところで、再度メジャーのFontanaに移籍、アルバム「GOLD MOTHER」のあとにリリースした「Sit Down」の再録音ヴァージョン(1991年)でとうとうイギリスのチャートを制覇、スタジアムをも埋めるようなバンドへとなったのである。 この翌年、貫禄たっぷりのアルバム「SEVEN」を引っさげてジェイムズは来日を果たした。が、日本での知名度・人気は本国に遠く及ばず、会場は川崎のクラブ・チッタ。もちろんそんな会場で見られるほうがファンとしてはありがたい。残念ながらそれでも客の入りは悪く、チッタの客席の後ろ半分にはテーブルが出る始末。だが僕は最前列を目指して前進、そして長い下積みの間に叩き上げられた彼らの誠実なライブ・パフォーマンスを間近に目撃することになったのだ。たしかな演奏力、ヴォーカルのティム・ブースのカリスマ性溢れる歌唱と独特の痙攣ダンス、そして少ない人数ながら確かに一体感を得た観客のフロア。今もってして、「生涯No.1ライブは」という問いにはこのライブを挙げる。 その後、ブライアン・イーノをプロデューサーに迎え、ジェイムズはスタジオ・アルバムでも質の高い作品を連発、個人的にはどれも忘れがたいものになっている。1998年にはヒット曲満載のベスト盤もリリースされており、初めて聴く人にはぜひオススメしたい。2001年末の国内ツアーをもってティムが脱退することになり、実質解散状態が続いていたが、このたびアルバム「LAID」のメンバー6人でのツアーが決定、すでにチケットは全公演ソールドアウトだという。 その間ティムはソロアルバムをリリースしており、けっして悪い内容ではなかったが、たぶんセールス的に苦戦したのだろう。別にお金目当てだったとしても批判するつもりはない。やっぱりジェイムズという家族のようなバンドがみんな好きだったのだ。 ジェイムズの音楽について、簡潔にせよ具体的にせよ語るのは難しい。あるときはU2のようなスタジアムロック風だったり、あるときは今風なダンスミュージックだったり、あるいは捉えどころのないアンビエントな音響が印象的だったり・・・。でもそこに共通して漂うatmosphereが、結局のところは僕にとってはよりどころだったのだと思う。だから「James」という匿名的な共同体が似つかわしいのだ。 今後日本のスタジアムで彼らを観ることは難しいだろう。フェスなどに呼んでくれるなら喜んでかけつけるが、これもギャラを考えればあまり実現可能性は高くない。こっちから会いに行くしかないかなあ。新作アルバムも楽しみにしています。 #
by deadfunny
| 2007-02-04 03:44
2006年 10月 08日
さよなら国立駅舎…「赤い三角屋根」別れ惜しむ撮影会 とうとうこの日がやってきてしまったようなのである。嗚呼、国立駅舎。 幼稚園に入るときに引っ越してきてから、会社に入った翌年までを、この街で過ごした。今でも両親の家があるので、行く用事がないわけでもない。 厳密に言うと住所は国分寺市だったので「国立に住んでいた」と言ってしまうとホントのことではないのだが、それはそれとして。 築80年、都内では原宿駅に続く古い駅舎だったそうだが、そういうものを保存していたり、パチンコ屋や風俗店が駅の周りになかったり、そのかわりにディスクユニオンがあったり、でもゲーセン「UFO」は「Since 1979」の老舗だったり、まあそういう街に育てば簡単に風変わりな奴になってしまうわけである。ちなみに忌野清志郎は小・中学校の先輩、永積タカシは中学校の後輩らしいが、きっと他にもいろんな国立っぽい連中が輩出しているのだろう。 駅関係で思い出したのが、この駅、都内のJR駅では最後まで自動改札に対応しなかったと記憶している。10年くらい前まで切符切りが改札に立っていたのだ。それが何か意図されたものだったのかどうかは知らないが、それも「らしい」じゃないですか。 明日国立に行こうとか思っているわけではない。夏に古い友達に会いに戻ったときに、お別れは済ませたつもりだ。 復元の可能性も残されているらしいが、さてまだ世間はこの変わった街に自由を許してくれるだろうか。 #
by deadfunny
| 2006-10-08 00:35
2006年 09月 29日
仕事が多過ぎて、どこからも手がつけられません! 大変です!! そんな中、注目の新作はなぜかエルトン・ジョンとスティングだったりしまして、まあエルトンは20年以上ファンをやっているので新譜は当然買うけど、スティングも実は出れば必ず買っているのだ。 The Captain & the Kid ELTON JOHN Mercury 1706-422, 2006 Songs from the Labyrinth STING ユニバーサルクラシック UCCH-1018, 2006 エルトンのアルバムは、タイトルからもうかがえるように往年の名作「Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy」の続編とも言えそうな、自伝的な作品。サウンドの感触はここ2作に近いの間くらいといった感じだが、昔の曲タイトルを詞に織り交ぜた曲があったり、あの曲やあの曲のフレーズを使用した曲があったりで、それだけで単純に楽しめる。各曲の吟味はまだこれからなので、取り急ぎ購入報告ということで。 スティングは、16~17世紀イギリスの作曲家、ジョン・ダウランドの曲を、ボスニア人のリュート奏者の伴奏で歌うという企画もの。ライナーではスティング自身がダウランドとの奇妙な縁や、そんな時代とは思えない作品の先鋭性などについて語っている。あの歌声がさらに作品に現代との接点を与えているよう。 そして、ハウスマーティンズの発掘音源集も登場。 Live at the BBC THE HOUSEMARTINS Mercury 984 2754, 2006 タイトルどおりのBBC音源集。ビートバンドとしての姿のほか、アカペラのものもたくさん収められており、このバンドの重要な側面がきっちりクローズアップされている。スタジオセッションだけでなく、グラストンベリーやノッティンガムでのライブ録音も計8曲収録。後者は昔NHK-FMでオンエアされたときにエアチェックしたテープでよく聴いたものからなので、個人的には思い入れが強い(このライブをフル収録したCDも出してほしい)。なお、BBC音源は以前に「Now That's What I Call Quite Good」という編集盤でも3曲リリースされていて、今回とは1曲だけかぶっている(「Drop Down Dead」)。 ●その2枚のアルバムで聴けるBBCセッションを、時代順にまとめてみました。 21/7/1985 John Peel Drop Down Dead Flag Day Stand at Ease Joy Joy Joy * 6/11/1985 Janice Long Freedom Reverend's Revenge Mercy So Glad He Brought Me Out (Drop Down Dead) ? (People Get Ready) ? 4/1/1986 Saturday Live Shelter People Get Ready - Sheep 12" 6/4/1986 John Peel Over There Happy Hour * Get Up Off Our Knees * Caravan of Love 3/6/1986 John Peel Pickin' the Blues (John Peel Theme Tune) Heaven Help Us All He Ain't Heavy * When I First Met Jesus * Happy Hour 6/9/1986 Saturday Live Heaven Help Us All (Sermonette) - Caravan of Love 12" 3/11/1987 John Peel Always Something There to Remind Me Sunday Isn't Sunday Build *をつけたものは、現時点で公式には音源化されていないもので調べのついたもの。?はやや自信なし情報。今回のCDにも一部収録された1986年6月のアカペラ・セッションは、Fish City Five名義によるもの。 なお、最後の回の「Always Something~」はBBCヴァージョンがそのままラスト・シングルとしてリリースされた。「Now That's~」のジャケットでは11月4日録音となっている。 #
by deadfunny
| 2006-09-29 02:39
2006年 09月 15日
著作隣接権が切れた50年以上前の音源は原盤権を持っていなくてもレーベル関係なしにリリース出来てしまうわけで、今日もグールドの「ゴルトベルク変奏曲」の旧盤(1956年リリース)がディヌ・リパッティの演奏とのカップリングで売られているのを見たりしたが、ジャズもこのあとブルーノートなどの名盤がどんどんレーベル開放されていくに違いない。 昨日は突然バド・パウエルのレコードを何枚か引っ張り出して聴いていたのだが、彼のレコードも1953年くらいまでの所謂絶頂期にあたるものは今や出し放題である。律儀にVerveの全曲集でも買おうかとCD店に行ってみたら、ドイツの聴いたことのないレーベルから4枚組・1,460円という無茶な値段で、しかもハイエンド・マスタリングを謳ったCDが出ていたので、「これでいいや」と購入。 Bud's Bubble BUD POWELL Membran 222469-444, 2005 1945年のフランク・ソコロウ・クインテット、翌年のファッツ・ナヴァロ/ギル・フラーでの録音から始まるが、そのあとは1947年のルースト・セッションや、「Jazz Giant」でおなじみのトリオ演奏(1949年)、ブルーノートでの録音(同年)、ソニー・スティットとのプレスティッジ録音(1950年)、あとは主にヴァーヴのものや、マッシー・ホールでのものを含むライヴ録音などなど。ヴァーヴ後期のものはかなりすっ飛ばされているが、これは単純にこの時期のものは出来不出来の差が激しくて、ということからだろうか。 今後もこの手の商法は年を追うごとに増えていくわけで、それでもわざわざブランド品を買わせようというのであれば、よりよいマスターを探し出すとか、ジャケットの再現度にこだわるなどの、オリジナルメーカーならではの商品価値を生み出さなければ、大手レコード会社のひとつの使命は終わってしまうだろう。 この4枚組ですか? まあ、元が古いから音質のばらつきも納得がいくし、バドみたいにレーベルの掛け持ち(?)などのせいで時系列で並べた聴き方が面倒臭い演奏家の場合は、こういう編集がありがたかったりもするわけで、「これでいいや」以上の満足感はあるかもね。 #
by deadfunny
| 2006-09-15 01:54
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