2020年 11月 07日
10代の自分に多大な影響を与えたザ・スタイル・カウンシル(TSC)の新ベスト「Long Hot Summers / The Story Of The Style Council」が発売され、予約していたLP3枚組がようやく届いた。 未発表音源もありつつ、時代順は考慮されない並びで、これさえあれば主だった楽曲は押さえられる曲集になっているけど、TSCを聴いたことがないという人は、もう少し曲数が絞られたベスト盤とかから入るほうがいいかもしれない。 TSCは基本、ポールとミックの二人組になるが、それぞれ前後のキャリアもあり、今となっては「’80年代は組んで活動していた」というような認識なのかもしれない。とくにポールはその後30年続いているソロ活動が充実していて、「元TSCの」という肩書は不要なまでになっている。でも、自分にとってはこの時期の二人が一番カッコいいし、音楽的にもこの路線が好きで今でも飽きもせずに頻繁に聴いているのだ。 ベスト盤に同い年の俳優、Martin Freemanがライナーノーツを寄せていて、彼らの何が刺さったのかについてはここで代弁されていると言っていい。音楽的に同時期のUKポップアーティストの先を行っていた、2つとして似たアルバム、シングルはなかった、音楽的なジャンルの幅の広さ、社会的・政治的関心をのせた歌詞を歌いながらも商業的に成功していた、そしてファッション、ジャケットデザイン、Cappuccino Kidの洒落たライナーノーツ、などなどいくらでも。 「My Ever Changing Moods」が全米ヒットとなり、MTV番組でプロモを見たのが出会いだった。期待に胸を膨らませてレンタルレコードで借りてきたファーストアルバム「カフェ・ブリュ」収録の同曲は、ピアノ伴奏による別ヴァージョン。他の曲も想像していたものとはまるで違う、悪く言えばとっ散らかった内容だったのだけど、少ない小遣いで借りてきたアルバムなのだと大事に何度も聴いて無理やり自分のものにしていったのが、今考えるとその後の音楽人生に大きく影響することになったのだろう。 10代の背伸びしたい年頃で彼らの音楽をリアルタイムで追いかけて聴いていたのは幸甚だったと今でも思う。さすがにその歳でソウルミュージックにどっぷりとかにはならなかったけど、同じく音楽的な幅が今よりずっとあった全米ヒットチャートを浴びながらも、その中で自分のセンスというものを選び取っていく段階で指針になっていたのは間違いないからだ。
by deadfunny
| 2020-11-07 18:16
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