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2007年 10月 18日
17.Oct.2007 (Wed)
グレン・グールドの紙ジャケ第3弾のベートーヴェン編を聴きまくっているうちに、ベートーヴェンのピアノ・ソナタがマイブームとなっている。

グールドは全曲の録音を残しておらず、「ヴァルトシュタイン」や「告別」といった有名曲も録音されていない。「ハンマークラヴィーア」は放送用の音源が残っているが、今回のシリーズには含まれていない。そういった曲も聴き返してみたくなったので、手持ちのレコードやCDを引っ張り出してみる。

「ピアノ音楽の新約聖書」とも呼ばれるこの32曲、全集の録音で持っているのはバックハウスのステレオ版、グルダのアマデオ版、バドゥラ=スコダの1970年頃のものの3つで、以前持っていたイーヴ・ナットのものもCD-R1枚にmp3で詰め込んだ形で辛うじて持っている。どれも比較的正統派のものと理解している。

32のソナタすべてに精通しているわけではないので、この機会に楽譜とにらめっこで各曲の理解も深めようではないかと思う次第でして、しかも便利なもので、楽譜はすべてネットで拾うことが可能だ。
http://imslp.org/wiki/Category:Beethoven,_Ludwig_van
(と思ったら、閉鎖だって??)

さて、一般にこの中から「3大ソナタ」と呼ばれるものはと問われれば、8番・14番・23番ということになるのだが、これは作品の完成度で決まったというよりは、短調に顕著なベートーヴェンのメロディメイカーとしての一面が引き立つ、いわば人気作だからという理由のほうが大きいと思われる。それぞれ「悲愴」「月光」「熱情」なんていうタイトルが付いているのもわかりやすい(この中で作曲者本人がつけたのは「悲愴」だけだけど)。

でも、やっぱ「なんだかわかんないけどすげえ」と思わせるのは晩年のものであり、30番~32番を「3大ソナタ」とすべきだという意見も(かなり少数だろうけど、あるには)ある。生涯こだわり続けた変奏曲や、晩年に創作の源を求めたバロック様式の極みであるフーガをふんだんに盛り込んで高みに到達してしまったベートーヴェンは、その後ピアノ・ソナタを書くことがなかったくらいである。

特に個人的に好きなのは最後の32番だが、嵐のように駆け抜ける第1楽章のパッセージを爽快なまでに猛スピードで弾き切った若きグールドの録音の印象が強いからかもしれない。対象的に、バックハウスが13分で弾いているのにポリーニだと17分以上かける第2楽章は、楽曲の構造を理解しないとどうにも捉えようがない・・・と思って、楽譜の出番なわけですよ。いちおうピアノを習っていた時期のある僕が、初めてこの晦渋な大傑作の譜面に(音楽を聴きながら)目を通してみる。

「こんなの弾ける人間いるんだ・・・」って、相手はプロなんだから弾けて当たり前だけど(が、譜面に忠実な老巨匠はかなり苦しそうに聴こえるところがある)、そもそも作曲者自身が耳が聴こえなくなっていて、この音楽もそもそも演奏を前提にしていなかったのでは、なんて言われていたことがあったらしい。いつ誰が初演したのだったか。

何度も聴いて楽曲そのものを把握し、いろんな演奏を聴き比べて違いを味わう・・・というクラシック音楽の基本的な楽しみ方に今さらながら入り込んでみるのも面白いかもしれない。30~32番はたしかアラウのCDも持っていたはず。その他オススメあったら教えてください。
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by deadfunny | 2007-10-18 02:29