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2007年 02月 21日
20.Feb.2007 (Tue)
だいぶ前に買っていたのだが、あまりちゃんと聴いていなかったCDを引っ張り出した。リヴァプールの伝説的なグループ、ザ・ワイルド・スワンズ(ワイルド・ワンズではない)の初期の録音を集めた2枚組「Incandescent」というもの。

Incandescent
THE WILD SWANS
Renascent RENCD7, 2003
オリジナルメンバーでの唯一のリリースは、エコー&ザ・バニーメンやティアドロップ・エクスプローズがデビューしたことで知られるZooレーベルからの12インチ「Revolutionary Spirit / God Forbid」(1982年)。メンバーのポール・シンプソンはその後、Ian BroudieとのCareで3枚のシングルをリリース、ジェレミー・ケリーはThe Lotus Eatersを結成して数枚のヒットシングルと1枚のアルバムを出したが、その後ワイルド・スワンズとして再結成し、2枚のアルバムを出した。

サウンド的にはシンセの入ったギターバンド、の一言で片付いてしまうかもしれないが、最初のシングルなど、ポップな楽曲の中にもロックの初期衝動が感じられ、なかなか感動的なカップリングとなっている(学生のころ、200円とかで買ったっけ)。このCDでは、1982年に行われた2回のBBCセッション、1986年の再結成時のBBCセッション(1回)、そしてバニーメンのツアーサポートを務めた1981年クリスマスのライブ(6曲)といった初リリースの音源が並び、ようやくこのバンドの実像が把握できるようになった。ともにAristaからリリースをしていたケアもロータス・イーターズも好きだったが、ポール・シンプソンに言わせればAristaは「半分のマジックのために倍のお金を注ぎ込んだ」ということになる。

他にもこの時期のリヴァプールには興味深いバンドが多く、デフ・スクール(Clive Langer, Steve Allen, etc.)、ビッグ・イン・ジャパン(Ian Broudie, Bill Drummond, David Balfe, Holly Johnson, etc.)あたりを起点に、ペイル・ファウンテンズ、アイシクル・ワークス、イッツ・イマテリアル、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、フロック・オヴ・シーガルズ、マイティ・ワー!(Pete Wylie)、デッド・オア・アライヴ・・・なんていう名前が輩出している。デフ・スクール、ビッグ・イン・ジャパン、そしてワイルド・スワンズから派生したアーティストを追いかけるだけでも、ボクシズ、オリジナル・ミラーズ、プラネッツ、ロリ&ザ・カメレオンズ、ケア、ロータス・イーターズ・・・とキリがない。でも、「あのバンドのあの人がいるから」とか言って気にしてみたりするわけで。

一時ケアもロータス・イーターズも普通にCDが買えたが、最近はあまり見なくなってしまった。Zooレーベルのコンピレーションも、そんなにレアではないが廃盤。ティアドロップ・エクスプローズのZoo時代の編集盤もけっこう珍しくなったか。まあ、あまり顧みられる機会は多くない人たちなんだろうけど、たまにはまってみるのも悪くはないかな、ということで。

そうそう、なぜかワイルド・スワンズとかロータス・イーターズって、フィリピンで大人気らしい。フィリピンのみのワイルド・スワンズの編集盤とかあるらしいよ。
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by deadfunny | 2007-02-21 02:41
2007年 02月 11日
11.Feb.2007 (Sun)
ブリンズリー・シュウォーツの未発表/レア音源を、元メンバーのイアン・ゴムが自分のサイト( http://www.myspace.com/thebrinsleys )で販売していると知り、オーダーしてみた。本人のソロのものと合わせて5タイトルが出ているが、値段も張るので、今回はグループ時代のものを。

It's All Over Now
BRINSLEY SCHWARZ
1974/2006

Live At The Top Rank Cardiff
BRINSLEY SCHWARZ
1974/2006

いずれもグループ末期の頃のもので、前者は7枚目のスタジオアルバムとして制作されながらオクラになっていたもの(ブートでは出ていたよう)、後者は1974年6月に行われたライブを収録したものである。

このグループ、初期はザ・バンド・シンドロームの中登場したイギリスのカントリー・ロックみたいな感じもするが、イアン・ゴムが加入し、ニック・ロウのポップセンスが開花してからは「パワーポップ」のジャンルとして括ったほうが相応しい素敵なバンドにと変わっており、ここでもそういった音楽の持つワクワク感が全開している。

「It's All Over Now」での聴きものは、何と言ってもニック・ロウのソロ代表曲(1979年)として知られる「Cruel To Be Kind」のオリジナル・ヴァージョンである。ハモンドの音色が軽快さを彩る「胸キュン」なサウンド、アレンジにはノックアウト必至! ぜひ上記リンク先で試聴してみてください(ほかにもStiffからリリースされたJona Lewie「God Bless」のオリジナルも収録)。
(後註 2007/2/27: その後、ニック・ロウの「Little Hitler」7"のB面に入っている「Cruel To Be Kind」がアルバムとは別アレンジというので、現物を入手して確認したところほとんどこのBrinsleyヴァージョンといっしょでした)
っていうか、このバンドちょっと早過ぎたのかもしれない。こんなトラックを1974年に録音していたと言うのもそうだけど、前年には変名でレゲエのカバーをシングルリリースしていて、しかもそのB面には怪しげなインスト・ヴァージョンを入れていたりするのだから・・・。

メンバーのうち、ニック・ロウについてはソロとしてもプロデューサー(コステロ、ザ・ダムドなど)としても成功しており、またグループ時代の「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love, and Understanding」という歌がいろんなアーティストにカバーされ、特に映画「ボディガード」のサントラにカーティス・スタイガーズのヴァージョンが収録されたことで印税も相当入ったと聞く。イアン・ゴムもソロで多く作品をリリースしているが、やはり上記「Cruel To Be Kind」の共作者としての印税もまだ入ってくるに違いない。ブリンズリー・シュウォーツ(個人名)とボブ・アンドリューズはグレアム・パーカーのルーモアに加入、たぶんちょっとは成功したはず。
なかなか顧みられないブリンズリー・シュウォーツだが、時代を超えた愛すべき男のポップにはまだ語るべきものが多く残っていると思う。

なお、「Rarities」というアルバムもイアンのサイトで売られており、こちらにはオムニバスのライブ盤「Greasy Truckers Party」に収録され未CD化の5曲も、盤起こしながら収録。

オーダーは上記リンクなどからイアン・ゴム本人にメールで。1枚15ポンド+送料3.50ポンドはなかなか高い。PayPalでの支払いが可能。

<Brinsley Schwarz Discography>

albums

Brinsley Schwarz (United Artists UAS 29111, Apr. 1970)
Despite It All (Liberty LBG 83427, Nov. 1970)
Silver Pistol (United Artists UAS 29217, Feb. 1972)
Nervous on the Road (United Artists UAS 29374, Sep. 1972)
Please Don't Ever Change (United Artists UAS 29489, Oct. 1973)
The New Favourites of Brinsley Schwarz (United Artists UAS 29641, Jul. 1974)
It's All Over Now (2006)
※その他、編集盤、BBC音源など

singles

Shining Brightly / What Do You Suggest (United Artists UP 35118, 1970)
Country Girl / Funk Angel (Liberty LBY 15419, 1970)
Country Girl / Funk Angel (United Artists UP 35312, 1972)
Hypocrite / The Version (United Artists UP 35530, Apr. 1973) The Hitters 名義
Speedo / I Worry (United Artists UP 35588, 1973)
I've Cried My Last Tear / (It's Gonna Be a) Bring Down (United Artists UP 35642, Mar. 1974)
(What's So Funny 'Bout) Love, Peace And Understanding /
Since You're Gone (United Artists UP 35700, 1974)
Everybody / I Like You, I Don't Love You (United Artists UP 35768, Jan. 1975)
I Should Have Known Better / Tell Me Why (United Artists UP 35779, Jan. 1975) Limelight 名義
Daytripper / Slow Down (United Artists UP 35773, Feb. 1975) The Knees 名義
There's A Cloud In My Heart / I Got The Real Thing (United Artists UP 35812, 1975) The Brinsleys 名義
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by deadfunny | 2007-02-11 14:34
2007年 02月 04日
3.Feb.2007 (Sat)
ジェイムズがティム・ブースを迎えて再始動したという話に喜んだのも束の間、ビューティフル・サウスが解散を表明した。どちらも僕の'90年代を豊かにしてくれた、青春のシンボルのようなバンドである。

今日はジェイムズの話。

ジェイムズはマンチェスターのバンドで、ザ・スミスよりちょっと遅れて地元のFactoryからデビューしている。2枚のシングル(とそれらを合わせた12インチ)を残してメジャーに移籍、Blanco Y NegroやSireからアルバムを出したがパッとせず、一度契約を終えている。

そして1988年に自主制作のライブ盤「One Man Clapping」、翌年にRough Tradeから'80年代UKインディの伝説として語られるべき名曲「Sit Down」、来るべきダンスムーブメントを予感させる「Come Home」という2枚のシングルをリリース、若者の支持を得たところで、再度メジャーのFontanaに移籍、アルバム「GOLD MOTHER」のあとにリリースした「Sit Down」の再録音ヴァージョン(1991年)でとうとうイギリスのチャートを制覇、スタジアムをも埋めるようなバンドへとなったのである。

この翌年、貫禄たっぷりのアルバム「SEVEN」を引っさげてジェイムズは来日を果たした。が、日本での知名度・人気は本国に遠く及ばず、会場は川崎のクラブ・チッタ。もちろんそんな会場で見られるほうがファンとしてはありがたい。残念ながらそれでも客の入りは悪く、チッタの客席の後ろ半分にはテーブルが出る始末。だが僕は最前列を目指して前進、そして長い下積みの間に叩き上げられた彼らの誠実なライブ・パフォーマンスを間近に目撃することになったのだ。たしかな演奏力、ヴォーカルのティム・ブースのカリスマ性溢れる歌唱と独特の痙攣ダンス、そして少ない人数ながら確かに一体感を得た観客のフロア。今もってして、「生涯No.1ライブは」という問いにはこのライブを挙げる。

その後、ブライアン・イーノをプロデューサーに迎え、ジェイムズはスタジオ・アルバムでも質の高い作品を連発、個人的にはどれも忘れがたいものになっている。1998年にはヒット曲満載のベスト盤もリリースされており、初めて聴く人にはぜひオススメしたい。2001年末の国内ツアーをもってティムが脱退することになり、実質解散状態が続いていたが、このたびアルバム「LAID」のメンバー6人でのツアーが決定、すでにチケットは全公演ソールドアウトだという。

その間ティムはソロアルバムをリリースしており、けっして悪い内容ではなかったが、たぶんセールス的に苦戦したのだろう。別にお金目当てだったとしても批判するつもりはない。やっぱりジェイムズという家族のようなバンドがみんな好きだったのだ。

ジェイムズの音楽について、簡潔にせよ具体的にせよ語るのは難しい。あるときはU2のようなスタジアムロック風だったり、あるときは今風なダンスミュージックだったり、あるいは捉えどころのないアンビエントな音響が印象的だったり・・・。でもそこに共通して漂うatmosphereが、結局のところは僕にとってはよりどころだったのだと思う。だから「James」という匿名的な共同体が似つかわしいのだ。

今後日本のスタジアムで彼らを観ることは難しいだろう。フェスなどに呼んでくれるなら喜んでかけつけるが、これもギャラを考えればあまり実現可能性は高くない。こっちから会いに行くしかないかなあ。新作アルバムも楽しみにしています。
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by deadfunny | 2007-02-04 03:44