2006年 07月 12日
11.Jul.2006 (Tue)
シド・バレット死去の報

やはり、特別なミュージシャンである。1970年前後の由緒正しきロック伝説を体現した人物であり、また彼の不在は彼がまだ生存していることにより、よりその意味を特別にしていたと言っていいだろう。かつて「I Know Where Syd Barrett Lives」というタイトルの歌があったが、「どこかで今もなおシドは生きているのだ」という言い方は、エルヴィス生存説やジョン・レノン生存説(そんなものがあるのか知らないが)とはぜんぜん違う種類の、彼に思いを寄せる人の数だけ受け止め方がある、リアルなメッセージだった。

うーん、なんかうまく言えないや。

つまり僕が思うにさ、人生そのものをドロップアウトして30数年、シドはどこかに生きていて、「夜明けの口笛吹き」「帽子が笑う...不気味に」「その名はバレット」「オペル」の各アルバムの印税はたぶん今でも定期的に振り込まれていて、ずっと経済的には安定した生活を送っていたのだけど、その実生活は僕らのロック幻想に応えてくれるような、廃人同様のドラッギーで狂気に満ちた生活だったのかもしれない一方で、懸命のリハビリを乗り越えて精神的にも復活し、ピンク・フロイドのメンバーとも日常的に交流してたりして(絶対どこかで「Live 8」とか観てたんじゃないかと思うんだが)、でも自身が与えられたポジションをよく理解して隠遁を続けることを選んだのかもしれないわけで、もしかしたらあなたの隣人がシド・バレットその人だったのかもしれないという、そんなリアルさって言うのかな・・・。

ちょっと違うな。
でもまあとにかく、シド・バレットはジャニスでもジム・モリソンでもヘンドリックスでもなく、故に特別だったわけで、故に時代の流れとともに変わる世の中と黙してリンクし、見えない大きな影として影響を与え続けてきたわけだ。シド・バレットは、「どこかに生きている」という曖昧な「活動」だけで、凡百のミュージシャンを凌駕し、圧倒的な劣等感に陥れることに成功した稀有な存在だった。そして、そのアーティスト活動についに終止符が打たれ、僕らもシドの暗黙の呪縛から開放されることになるのだ。

今はご冥福を祈ります。そして、後日「シド・バレットの愉快な老後」みたいなのが白日の下に晒され、彼が、幸福な人生を送った世紀の詐欺師だったことが明かされると嬉しいなと思うのです。
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by deadfunny | 2006-07-12 02:42


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