2016年 01月 17日
17 Jan. 2016 (Sun)
あまりに突然訪れたデヴィッド・ボウイーの訃報から一週間、そろそろ気持ちも落ち着いてきたので何か書こうか。

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たぶん初めて彼の音楽を聴いたのは、1983年に当時チャート上位に入っていた「Modern Love」をテレビで見たときだろうか。すでにヒットしていた「Let's Dance」や「China Girl」もそこここで耳にしておなじみになっていたと思う。小学6年生の頃の話。

アルバム「Let's Dance」「Tonight」「Never Let Me Down」、シングルだとCMで使われていた「Blue Jean」のほかは「This Is Not America」「Dancing In The Street」「Absolute Beginners」「Underground」といった感じでアルバム未収録のものがそれぞれ印象に残っているが、中学生当時の僕は、ロック名盤を聴き漁っていたことや友人の影響もあって、ボウイーに関しては’70年代の諸作を遡って聴くほうが刺激的だった。わかりやすく「ジギー・スターダスト」のアルバムはワクワクさせられたし、「Low」聴いて「わかった」気分になっることもあったしで、まさに「中二病」に罹ってしまったわけである。

その後一時期RCA時代のアルバムが手に入りにくくなった時期があったのだけど、1990年にRykoからリリースされた再発CDのシリーズにはボーナストラックがついたりしたものだから、また個人的にもブームが訪れる。ティン・マシーンとかはあまりちゃんと聴いていなかったし、その後も新作を追っかけたりはしなかったのだけど、それでも10代の僕に決定的な影響を与えた’70年代の作品群は思い出しては聴いていた。

とは言いつつ、好きなアルバム、よく聴くアルバムは限られているようだ。今の気分で5枚挙げろと言われたら、この5枚になるな。

「David Bowie」(セカンドのほう)
「Hunky Dory」
「Aladdin Sane」
「Station To Station」
「BBC Radio Theatre, London, June 27, 2000」

アルバムごとにスタイルがころころ変わる人なので、単純にサウンドの好みで決まってしまうところがあるかもしれないが、一昨年の3枚組ベストや昨年の初期ボックスセット「Five Years」で久しぶりに聴いた曲は意外と多かったと思う。

さて上に挙げたもののうちの最後は、「BBCセッションズ」というアルバムのオマケについてきたアルバムで、単独での販売はされていないかもしれない。たぶんあまり大きくない会場でやっているんだろうか、演奏も歌もリラックスしていて良い。レパートリーもちょっと変わっていて、「Absolute Beginners」「This Is Not America」「Wild Is The Wind」といった楽曲の良さを再発見できるのもいい。

’90年代~’00年代とあまり彼の動向に関心を払わないままでいた僕が発売と同時に反射的に新作を買ってしまったのだから、2013年の「The Next Day」のときのイメージ戦略はなかなか周到だったんだろう。あのジャケットは反則だろう、とか、全盛期のサウンドが復活!(いや、その前よく知らないんだけど言っておくか)、とか、久しぶりに盛り上がりましたよ。人生総決算プロジェクトになってしまった「Nothing Has Changed」~「Five Years」もバッチリ買いました(’90年代以降のアルバムを揃えたりね)。そして、69歳の誕生日に発売された「★」も一日遅れで買って「今回もまた現役感バリバリじゃないか」などと唸らされたものです。

都内のディスクユニオンに行ったら中古CDのボウイーコーナーはすっからかんになっていた。落ち着いたら持っていないアルバムを少しずつ集めていこうかな。

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# by deadfunny | 2016-01-17 22:27
2015年 11月 07日
7.Nov.2015 (Sat)
5年ぶりになんか書いてみようかな。

この間にTwitterとかのSNSの隆盛があったので、長文綴るブログ形式はなんとなく衰えてしまった気がするのだけど(検索上位にもなかなかブログ記事が上がってこない)、やっぱり140字で瞬間的な寿命しか持たない投稿はあまりに刹那的で、せっかく言いたいことがあっても投稿のタイミングによって広がったり誰の目にもとまらなかったりで、ちょいもったいない。

今年始まったApple Musicなどのサブスクリプション系音楽サービスの影響で、個人的にはCDを買う枚数が激減した。ただ、パッケージメディアに興味がなくなったのかというとそうでもなく、代わりにアナログレコードをまた買うようになった。

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Matthew Sweet and Susanna Hoffs "Completely Under The Covers" (2015)
2006年、2009年、2013年と3枚に渡ってリリースされたカバー集企画に、アルバム未収録の音源を加えたコンプリートボックスで、CDは4枚組、このアナログは6枚組。レコードはカラーヴァイナルとなっている。

過去の3枚はCDで買ってきていることもあり、6枚組にしては価格も買いやすくなっていたアナログで購入。Vol. 1の’60年代編ではラヴ「Alone Again Or」やレフト・バンク「She May Call You Up Tonight」のカバーが白眉で、この辺はスザンナ・ホフスのヴォーカルやハーモニーによるところが大きいかな。キンクス「VGPS」などが追加。
Vol. 2は’70年代編で、今回初めて聴いたテレヴィジョン「Marquee Moon」完コピが、おんなじことやってた自分の学生時代を思い出してしまうこともあって高ポイント。バッドフィンガー「Baby Blue」、クイーン「Killer Queen」とか、それぞれ一番好きな歌を取り上げているところも共感ポイント。
Vol. 3では1曲目にR.E.M.「Sitting Still」。自主制作デビューシングルのB面曲ということで、当時近いシーンにいたマシュー・スウィートとこの曲との関わりに思いを巡らせる。プリンス「I Would Die 4 U」も良い選曲。UKものはどれも普通な選曲かなあ。スミスなら…とかバニーメンなら…とかなくもないけど、それはまあいいや。


気が向いたらまた何か書きます。

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# by deadfunny | 2015-11-07 13:00
2009年 11月 24日
22.Nov.2009 (Sun)
映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」を観る。27日(金)までの上映なので、未見の方は必ず見るべし。



とくべつ天気が良かったわけではないが、大泉学園の映画館まで家から歩くことに。靴がまだ新しいこともあって、1時間後に着いたときには足首がだいぶ痛くなっていた。ちなみに、ムーンウォークを綺麗に決めるためには、足首の強さが必要らしい。

いちおう書いておくと、映像自体は行われることのなかったロンドン公演のリハーサル時の映像と、公演用に制作された映像部分、ダンサーやミュージシャンのインタビュー(マイケル存命時)などで構成されている。マイケルのインタビューはない。あくまで記録用で、公開の予定はなかったとのことだが、かなりの時間テープが回されていたのか、まるでソフト化が前提だったかのようにいろんな場面が収められている。

今までけっして見せてくれなかったコンサートの舞台裏をこういう形で初公開してしまうことに関しては、ちょっと複雑なところもある。マイケルがコンサートを行っていたら一般的にはオクラになっていたであろう映像であり、コレを見られることを手放しで喜んでしまうのも、ね。

映画でのマイケルはすこぶる元気だ。リハーサルであっても歌やダンスに集中していて、動きも50歳とは思えないほどキレがある。このちょっとあとに突然おっ死んじまうだなんて、到底想像できない。マイケルも、ダンサーやミュージシャンも、みんなこのショーを楽しみにしているようだし、終始見られる笑顔は野心と、音楽への感謝に溢れている。演奏される名曲の数々には文句のつけようもない。

マイケルには、このステージに立たせてあげたかった。マイケルはもういないというのは百も承知なのだが、ここまで大がかりで綿密なリハーサルで作り上げたものを観客に見せつけられないなんて、あまりに残酷すぎる。「で、ロンドン公演はいつから始まるの?」とでも言いたくなるラストだ。

この映画で初めてちゃんとマイケル・ジャクソンというアーティストの実像を見た人たちの感想には、それまでちゃんとマイケルを聴かなかったことへの懺悔が多く見られるという。たしかにここ10年近くのマイケルしか知らない若い人にとっては、マイケルの存在というのはリアリティのない、偶像的なものでしかなかったのかもしれない。だけど、マイケルが死んで初めて実像を知るだなんて、あまりに残念な話だ。マイケルをそのような存在に押しやったのは、他ならぬ我々だったのかもしれないのだが。
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# by deadfunny | 2009-11-24 01:40
2009年 10月 10日
9.Oct.2009 (Fri)
東京オペラシティにて、パウル・バドゥラ=スコダのソロリサイタル。

1927年生まれのウィーンのピアニストで、フルトヴェングラーとの共演歴もあるという大ベテランの、初来日50周年を記念したコンサートとのこと。何となく気になっていたが、演目にベートーヴェンの32番があるのを見つけて、行くことに決めた。32番を生演奏で聴くのは初めて。

80歳を越えているというのに、ピンと背筋を伸ばしてご登場、おもむろにハイドンのヴァリエーションを弾き始める。この時点でいきなりすっと引き込まれてしまう。80歳のおじいちゃんがこんな曲弾いてくれたら、カッコいいよなあ。

同じくハイドンのハ短調のソナタが続く。ミスタッチは目立つが、もちろん大きく音楽を邪魔しているわけでもなく、気持ちよく音楽は流れていく。ここで少し眠気が襲うが、乗り切って次の32番に。

人によってはやたらと重々しく弾かれる序奏もテンポよく入り、アレグロ・コン・ブリオに入ってからはかなり早いテンポで飛ばしていく。大丈夫か?と思ったらやっぱりタッチに関しては怪しいところが多々聴かれたのだけど、たとえば昔のギーゼキングの録音なんか聴くと、指は回らなくともとにかく突っ走るのが伝統的な弾き方だったのかななどとも思うわけで、これでいいのかもしれない(そしてそれを正確に弾き切ったのが1956年のグールドの録音だった・・・のかな?)。

アタッカで第2楽章のアリエッタに入るところなんかも、なんかいい。そしてここからもずいぶんと速いテンポでさくさくと変奏が進み、終盤の綺麗な高音のピアニシモでころころと転がす箇所は、粒の揃った音を延々と聴かせていく。そして、最後の和音を弾き終わりしばしの余韻を会場全体で味わおうというところで・・・明らかに空気を読まないフライング拍手を始める輩が!! もう台無しです。あなたコンサートホールに行く資格ありません。

休憩後、マルタンの幻想曲(バドゥラ=スコダに献呈された曲とのこと、当然初めて聴いた)で前衛的な曲でもぴしっと決めるところを見せ、最後にシューベルトのアンプロンプチュ(Op.90)。きっと70年くらいずっと弾き続けているんじゃないかとか思っているんだけど、テンポにときおり緩急をつけながら手馴れた感じで聴かせていく。第2曲がまたまたかなりの速度で弾かれ、ショパンのワルツみたいに聴こえたのがちょっとびっくり(あとで彼の古い録音で確認したが、こんなに速くはなかった)。第3曲と第4曲は昔自分でも弾いたことがある曲なので、これまたある種の感慨を持って聴く。

アンコールは3回、たぶんすべてシューベルトの小曲かな(例のヘ短調の「楽興の時」もやった)。拍手に呼び戻されてはちょこっと弾いて舞台袖に消えていく老マエストロ。

まあ、テクニック的な話はしてもしょうがないし、けっして満員というわけでもなかったし、チケット代もかなりリーズナブルだったりもしたしで、別にクラシックファン的にマストなコンサートというものでもなかったのかもしれないけど、張り詰めた緊張感とは無縁の、暖かい雰囲気に溢れたいいコンサートだったので個人的には幸せなひと時を過ごせたと思っている(それにつけても32番の余韻だけはもっと味わいたかった)。同じ会場で昨年見たシフのときとは全然テンションが違ったというか。

たとえばナチュラルな感じが逆に印象的だったアゴーギクがウィーン流なのか彼独特のものなのかは僕には語れないけど、きっと長年かけて染み付いた語り口、歌わせ方みたいなものが随所に聴かれていただろうし、そういう味は今風ではないのかもしれない。またまたベートーヴェンのソナタ全集に取り掛かろうとしているなんて話もあるみたいだけど、来月来日するデームスと並ぶ最後?のウィーンの香り漂う名匠がどんな境地を聴かせてくれるのかは、すごく倒錯した意味で興味あるところだ。


Beethoven: Piano Sonatas

Gramola

今月再発される最初のベートーヴェン全集(1969年)。アナログのボックスなら持ってるんだけど、この値段なら買ってもいいかも。
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# by deadfunny | 2009-10-10 00:58
2009年 09月 21日
20.Sep.2009 (Sun)
ビートルズの一連の再発のうち、僕が(現時点で)買ったものは以下の4点。

Abbey Road

The Beatles / EMI UK



Let It Be

The Beatles / EMI UK



The Beatles

The Beatles / EMI UK



The Beatles In Mono

The Beatles / EMI



ハイ、わかりやすい買い方です。個人的にはステレオ版よりモノラル版に馴染みがあること+限定・紙ジャケということで、モノボックスは迷わず予約、プラス「アビイ・ロード」「レット・イット・ビー」、あとはステレオミックスも捨てがたい「ホワイト・アルバム」。「イエロー・サブマリン」は、4曲のモノミックスがボックスに入っているので後日に回した。

たまたま単品のほうが先に届いたので、まず「アビイ・ロード」から聴き始めたが、これはいいリマスターだと確信。ほどよい分離感とまろやかさが感じられ、また「Something」「She Came In through the Bathroom Window」などいくつかの曲ではずいぶん印象が変わった。「レット・イット・ビー」も同様で、しばらく「ネイキッド」にファーストチョイスの座を譲っていたのが逆転。やっぱ馴染みのこっちかな、今の気分だと。続いて届いた「ホワイト・アルバム」は、分離の良すぎるところが逆に違和感を覚える曲もいくつかあったが、元のミックスがいい曲では迫力が増した。アヴァンギャルドなロックンロールアルバム。

とは言っても以上3つに関してはオリジナルのLPを持っているわけでもないし、旧盤CDで持っているのも「ホワイト・アルバム」だけなので、比較対象が'60年代・'70年代の国内盤LP(の記憶)ということで、存外オリジナル盤からはそう離れたものでもないのかもしれない。と思ったのも、モノラルミックスで聴いた一連の作品の印象は、アルバム、シングルともオリジナルのレコードに近いんじゃないかな、というものだったからだ(ただし「ホワイト・アルバム」のみオリジナルLPは持っていない。あと手持ちの「マジカル」USモノLPはかなりボロボロなんで、これも後半のシングル曲以外は対象外)。

「普通両ボックスとも買うものじゃないのか」と同好の士には嗤われそうだが、予算、スペースの都合+初期のステレオミックスにあまり興味がない、というのがあっての今回の買い方である。1987年にリリースされた旧盤CDのうち最初の4作がモノラルであったことに今でも疑問を呈するファンがいるようだが、僕なんかはいっそのこと「ラバー・ソウル」くらいまではモノでよかったんじゃないの?と思うくらいで、メンバーはおろか曲によってはプロデューサーのジョージ・マーティンですらミックスに立ち会っていないというステレオミックスを今後世界標準に戻す意図に関してはまったくもって理解できない。別ヴァージョン集でしょ、それ。

今回モノラルボックスに特別に収録された「ヘルプ!」「ラバー・ソウル」のオリジナル・ステレオミックスもせっかくなので聴いてみた。特に「ラバー・ソウル」は最初からモノで聴いていたので、これは初めて聴いたかもしれないが、楽器のダビングなども増えてチャンネルのピンポンで何とかミックスに持っていったということか、ヴォーカルが左右CHに完全に振れている曲が多くて、聴きにくいというか逆に懐かしいというか(1987年のCD化ではジョージ・マーティンがリミックスを行っていて聴きやすくなっているらしい)。ひとつひとつの楽器がよく聴こえるのは発見でもあるけど、音楽的なものとは別問題かな。バンドの耳コピには使える。

逆に「ヘルプ!」はヴォーカルがセンター定位のものが多かった。無理のあるステレオであることは変わりないけど、それほど聴きづらいものでもなかった。あと実は「ヘルプ!」のステレオ盤LPは、僕が初めて聴いたビートルズのレコードなので(実家にある)、これの初CD化(「Capitol Albums」を除く)にはそれなりに感慨があってそういう補正もはたらいているのかもしれない。

さて、上記の買い方だと、「イエロー・サブマリン」収録のジョージ・マーティン・オーケストラ曲以外に手に入らない曲が2曲だけあるようである。1969年発売のシングル「The Ballad of John and Yoko / Old Brown Shoe」はモノミックスが発表されず、オリジナルアルバムにも収録されていないので、今回のリマスターを聴くにはステレオ版の「パスト・マスターズ」を買わないといけない。特に「Old Brown Shoe」なんかは、今回の一連のリマスターを聴いている感じだとかなりカッコよくなっていそうだよなあ、オリジナルシングルも持ってないし・・・ということで・・・オーダーしてしまいました、2曲のために・・・。

Past Masters

The Beatles / EMI UK



まあ、結局気づいたら他のステレオアルバムも意外と早く揃ってたりするのかもしれないけど、とりあえず今のところはこんな感じで。

追記:
同じような悩みをお持ちの方を見つけました
DEB DYLAN の 風に吹かれて
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# by deadfunny | 2009-09-21 00:11
2009年 09月 09日
8.Sep.2009 (Tue)
朝日の書評にあった中公新書の岡田暁生「音楽の聴き方」なる本が気になり、即購入・読了。

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)

岡田 暁生 / 中央公論新社



音楽を聴くという行為の意味が変化していく近代以降のプロセスについては、以前に渡辺裕「聴衆の誕生」という本で読んだこともあり、けっこう好きなテーマだったりもする。書評を読んだ段階ではそういうことが扱われているとは思わなかったのだけど、「ハウツー」的な話はつかみとして序盤にとっとと済ませ、音楽の受容史の視点も混ぜつつ現代的な音楽の楽しみ方を、実に論理的に提言していく。クラシック音楽中心の叙述になるが、他ジャンルにも当て嵌まるであろうことは、それを意識しながら読んでいた僕が言うのだから間違いない、はず。

・ 音楽は、ただ聴くだけでなく、同じ音楽に感動した者同士で語り合ってこそ、より面白くなる。
・ 音楽は、文化的な背景抜きでは語れない。音楽は勝手に国境を越えたりはしない。
・ 音楽をプレイし、また言葉にしていく作業が、音楽文化を育む。

などと言ったシンプルな主張が並ぶ序盤は、常々同様のことを感じながらも今の世の中それが少数派であることをなんとなく認めざるを得ないような人たちには、心強い福音だ。後半のやたらと難しい(アドルノとか引かれるとさすがに晦渋過ぎてついていけない部分多々)パートも、じっくり読めばするりと頭に入ってくるのかもしれないが、やや話題が拡散しているような感も受けた。

いいの、シンプルな結論で。なぜ音楽を勉強するかって、そのほうが音楽が面白くなって人生豊かになるからに決まってるじゃん!
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# by deadfunny | 2009-09-09 02:34
2009年 08月 25日
24.Aug.2009 (Mon)
デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの初期メンバー、ケヴィン・アーチャー率いるThe Blue Ox Babesの音源集「Apples & Oranges」がリリースされていたのを知り、購入。

Apples & Oranges

The Blue Ox Babes / Cherry Red


1988年にGo! Discsから3枚のシングルをリリースしたが、予定されていたアルバムがお蔵になった(見本のカセットだけが出回った)ということまでは知っていた。シングル2枚はずっと持っているが、もう一枚リリースされていたことはだいぶあとになって知ったものの手に入れられずにいた。

レコードが発売された時期だけを見るとデキシーズがとっくに解散した後のバンドにも見えるが、今回のCDブックレット掲載のライナーノートを読むと、なかなかに切なく辛い話があり、音楽的に恵まれながらも報われない悲劇というのは存在するのだと改めて思う。

英文ライナーをざっと一度読んだだけなので誤認もあるかもしれないが、1980年にデキシーズを脱退したアーチャーはすぐにもブルー・オックス・ベイブズを結成、バンドの新しい方向を見出せずにもがいていたケヴィン・ローランド率いるデキシーズを尻目に、フォークとソウルの融合をヴァイオリニストなどのメンバーを迎えて形にしつつあった。が、デモテープを聴かされたローランドが(ファッション含め)そのコンセプトをパクることを決意、ヴァイオリニストのヘレン・オハラを引き抜いて「Come On Eileen」で世界的な大ヒットを飛ばすにまでいたる。

アーチャーとしてみたら、ここで自分のバンドを売り出したところで「元同じバンドのメンバーだった奴が、方向転換して成功したデキシーズをパクった」と言われることは必定。相当な打撃を受けたらしく、バンドはいったん解散する。アーチャーは1983年にローランドにバンドへの再合流を打診されたが、蹴ったらしい。ローランドとしてみればアイディアをパクられた旧友への負い目もあったに違いないであろうことは、その後の発言で明らかになるがそれはまた別の話。

その後デキシーズが大リストラを敢行して3作目を作ったころ、元メンバーらがアーチャーと合流、ブルー・オックス・ベイブズは再び始動してライブを行うようになり、ついにGo! Discsとの契約に漕ぎ着けるが、結果が出なかったことで完成したアルバムは発売を見送られ、バンドも解散した。

僕が彼らの2枚のシングルを手に入れたのはたしか2回目の渡英のとき、1994年の話だったと記憶している。ヴァイオリンなどの入ったバンドサウンドは明らかに2作目のころのデキシーズそのままでけっこう気に入ってはいたが、今思えばたしかにもう何年か早くデビューしていたところでさほど高い評価は得られなかったかもしれない。逆に、1993年にケヴィン・ローランドがケヴィン・アーチャーからアイディアを盗用したことを認めたということが公になったからこそ、今こうしてCDリリースが初めて行われ、そこに正当な評価が与えられるというものなのだろうか。だとしても、アーチャーにとっては大きな悲劇に対するせめてもの慰めにしかならないのだろうが。

結局この今回のアルバムを誰に勧められるかと言われれば、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズのファンは絶対聴いておけ、としか答えようがないものな。ジミー・パターソンのトロンボーンソロがまんまデキシーズな曲とか、やっぱりちょっと複雑な気持ちになる。

"I stole the style of music that was Kevin Archer's, for which I am deeply sorry and regretful." - Kevin Rowland, 1997
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# by deadfunny | 2009-08-25 01:53
2009年 07月 23日
22.Jul.2009 (Wed)
ウィルコの諸作から遡ってということで、アンクル・テュペロのアルバムでも聴いてみようと思ったんだった。入荷待ち承知でオーダーしていた1st~3rd の3枚(すべてAmazonで800円台)が意外と早く届き、まずはファーストを何度か聴いているところ(昨日書いたやつも繰り返し聴きつつ)。

1990年発表のファースト「No Depression」は、オルタナティヴ・カントリーなるジャンルを確立した名作とのこと、このタイトルを冠した「No Depression」誌なる雑誌で紹介されたものをオルタナ・カントリーと呼ぶ、みたいな状態にもなったこともあり、一種象徴的なアルバムらしい。

No Depression

Uncle Tupelo / Columbia/Legacy



実際聴いてみての感想は後に回すとして、さてはて果たしてオルタナ・カントリーなるものについて僕は当時どれだけ意識していただろうか? 少なくとも1990年、ということは大学に入った年だけど、当時は例えば「クロスビート」誌あたりを参考に、マンチェやらクリエイションやらUKロックばかり聴いていて、アメリカのインディ・シーンは気にしていなかった、かもしれない。ソニック・ユースやダイナソーJr.くらいしか知らなかっただろうな(グランジ以前の話なのだから、「オルタナティヴ」なんて単語も使っていなかったのではないだろうか)。まあ、当時の雑誌を引っ張り出したらレコ評くらいは載っているのかも知れないが、どれだけ日本で紹介されていたのかはよくわからない。アンクル・テュペロも4枚のアルバムをリリースしているらしいが、全然記憶にないんだよなあ。あ、でもジェイホークスくらいは知っていたかな。

カートが死んでベックが登場するあたりから、「アメリカン・ゴシック」なんて言葉をよく耳にするようになったことを思い出す。僕にとってのベックが初めて印象づけられたのは「Loser」でも「メロウ・ゴールド」でもなく、その次に発売された「One Foot In The Grave」だったりするのだけど、ああいうフォーキーのダークサイドのイメージが、そのまま「オル・カン」に繋がったり・・・なんて勝手に想像していたり(たぶん間違っている)。アンクル・テュペロが解散してウィルコとサン・ヴォルトが同時期にデビューしたことは、後追いで知ったような気もすれば、当時知っていたような気もする。音は聴いていなかったが。ウィルコの3作目「Summerteeth」はリリースされて1年くらい経ってから中古で買っている(当時の最新作)が、どうしてこれを手に取ったのかはまったく思い出せない。

で、「No Depression」。想像していたよりもカントリーっぽくなくて聴きやすく、けっこう気に入っている。テレキャスっぽい乾いたエレキの音や、なんかいかにもボディのでっかそうなアコースティック・ギター(ジャケット見るとそうでもないが)の音がカントリーっぽいが、ノイジーなカッティングが性急なビートに乗っかると、パンク以後に実直にロックとカントリーの融合を図った、バーズ(in 1968)的な方法論もうかがえる、のかも。

ブックレットには元メンバーによる詳細回顧録が載っていて、これで勉強しつつ、グランジ前に咲いたオルタナ・カントリーなるジャンルの意味性について自分なりに考察するのも、'90年代以降のアメリカン・(オルタナティヴ・)ロックを検証する上では重要な作業かもしれない。まあ、そんな作業をする暇はあまりありませんが(笑)

(待てよ、R.E.M.の「Out Of Time」なんてその影響下だったりするのかな?)
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# by deadfunny | 2009-07-23 01:17
2009年 07月 22日
21.Jul.2009 (Tue)

Under the Covers, Vol. 2

Matthew Sweet & Susanna Hoffs / Shout! Factory



2006年の「Vol. 1」はサイケデリア近辺に焦点を当てた選曲だったわけだけど、今回は'70年代編。「パワー・ポップ」の元祖的なラズベリーズ、トッド・ラングレン(2 曲)、ビッグ・スターは真っ当だが、あとは意外や渋め。意表をつく、というほどでもなく、リトル・フィートもトム・ペティもカーリー・サイモンも、普通に馴染んでいる感じ。ちなみにグラムは「All The Young Dudes」一曲(笑)。元ビートルズはジョン、ジョージのみでポールはなし(ウィングズあたりははまりそうなのだが)。

バックメンバーは前作同様リック・メンクが全曲で叩いていて、グレッグ・リースのギターもほぼ全編で聴けるが、今回はカバーされたオリジナルのアーティストのゲスト参加もあり、フリートウッド・マックのリンジー・バッキンガム、イエスのスティーヴ・ハウがギターを弾いている。またジョージ・ハリスンの曲では息子のDhaniが登場。

選曲の渋さもあって、前作に感じられたトキメキのようなものは後退しているが、飽きずに聴けるアルバムではあると見た。あれ、次はエイティーズやっちゃうの??(だとしたらすっげえ楽しみなんですけど!)
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# by deadfunny | 2009-07-22 00:53
2009年 07月 03日
2.Jul.2009 (Thu)
ご存知のとおり、先月マイケル・ジャクソンが急死した。と言われても、未だにピンと来ないところがあるのだが、どうやら本当のことらしい。「50歳」というのもまるでリアリティがないが。

小学6年生のときに洋楽を聴き始めたのだけど、そのときチャートを席巻していたのがアルバム「スリラー」と、そこからカットされた数々のシングル曲だった。とは言っても、そのときHot 100を上昇していたのはたしか「P.Y.T.」で、この曲はPVもなかったはず。ポール・マッカートニーとの「Say Say Say」と、アルバムからの最後のシングル「Thriller」が続くわけだけど、あれ、「Billie Jean」や「Beat It」はどのタイミングで知ったんだったか('83年末に見た年間チャートの番組?)。

アルバムはわざわざ誰かに借りたり買ったりしなくても、ほぼ全曲知っていたので、だいぶ後になって中古盤で買うまでは持っていなかったな。「スリラー」に関して言えば、いいとか悪いとかは超越した、究極のポップ・スタンダードという認識。

ジャクソンズ(「VICTORY」)や「We Are The World」があって、「BAD」が出たのが1987年。CDプレーヤーが我が家にやってきた年で、たしか兄が初めて買ったCDが「BAD」だった。CD自体の珍しさもあって、毎日のように聴いた(聴かされた)ため、これまた全曲よく知っている。一所懸命ワルぶろうとしているのだが、品の良さは抜けきれるはずもなく、このバランスが取れるにはもう一作待たなければいけない。またもや登場したアル・ヤンコヴィックによるパロディ曲&PVも忘れがたい。ちなみにプリンスは'87年「Sign O' The Times」、翌年「Black Album」もとい「Lovesexy」。いい時代です。

1991年、「デンジャラス」のときもたしか兄が買ったのを聴いていた。「Black Or White」はスラッシュじゃなくてマコーレー・カルキンのイメージ。「Remember The Time」こそが個人的マイケル最大の名曲(エンディングのアドリブ歌唱は壮絶)。シングルカットごとに作られるショートフィルムとやらはなかなか全編を見られなかったっけ。

そのあとはそれぞれ実家を離れたこともあって、マイケルの新作が出てもわざわざ買って聴いたりはしていなかったが(あまり楽曲に魅力を感じていなかったというのもある)、マイケルという存在自体は無視できないどころか、ある種の指針であり続けた。明らかにクレイジーでエキセントリックなんだけど、邪心のようなものをうかがい知ることの難しい、純心さみたいなものが逆に恐ろしいというか(「Heal The World」とか真顔で言われてしまうと)。

2001年の、結果的にはオリジナル最終作となってしまった「インヴィンシブル」をリリースと同時に買ったのはなぜだったんだろう? 「やっぱりマイケル・ジャクソンが好きだ」と気づいたからか? お金がたっぷりかかっていることは、R&Bやブラコン、ヒップホップに日頃馴染みのない僕でもちょっと聴けばわかる。でも、ポップでキャッチーな曲はほとんど入っていない、不気味な情念が渦巻く怪作で、事実セールス的には苦しんだという。その後の裁判闘争などもあって経済的に逼迫するマイケルだが、この作品が彼の人生におけるターニングポイントとなってしまったのかもしれない。'80年代には陽のマイケル・陰のプリンスという表裏の関係を意識させられることもあったが、この頃にはむしろプリンスのほうがアッパーで、マイケルはダウナーな音楽をやっていたという感じか。印象だけど。

亡くなった日を境に旧作は売れまくり、すでに国内では計35万枚のバックオーダーが来ているとのこと。僕も7月に出る紙ジャケは買ってしまうかもしれない。そして、そうやってマイケルは一日一日過去のものになっていくんだろう。まだちょっと信じられないが。

もうカラオケで「Billie Jean」の「アッ」「ダッ」「ヒーヒー」「アーォ」etc.を完コピするなんて芸は笑えなくなるのかしら。もっと研究しようと思っていたのに・・・。今月から始まる予定だったロンドン公演での復帰が実現しなかったことは本当に惜しまれる。


まだ「マイケル、ありがとう!」とか言う気分にはなれない。マイケルのような人物に対して、亡くなりました、冥福を祈ります、みたいなお決まりのつまらない物言いをするなんてことは、僕には出来ない。
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# by deadfunny | 2009-07-03 01:22